愛しいキミへ
「俺には隠すんじゃねぇよ。」
「あぁ。」

直哉は、俺の隠している気持ちに気づいていたのだろう。
俺がため込むことを知っている直哉だからこそ、ここまでしつこく聞いてきた。
話したことで、胸がスッとした。

これ以上、俺と沙菜のことについてつっこんでくることはなかった。
その代わりに、自分と桜ちゃんの話をしてくれた。

「せっかく付き合って最初のクリスマスなのに…24日は学校のあと予備校。25日は一日予備校だよ…。寂しすぎる。」

クリスマスか・・・
二人で過ごしたことはないから、少しでも一緒にいられればいいなと思った。

直哉の愚痴をしばらく聞いて、教室に荷物をとりに行った。
体育館では後夜祭の真っ最中だが、参加者のほとんどが後輩たち。
寄らずに帰宅した。

家に着く頃には、空は暗くなり秋なのに冬の寒さが混ざり始めていた。
冬はもうすぐそこまで来ている。


俺の気持ちはいつまで隠せる?
いつまでこのままで耐えられる?

そばにいられるだけで良かった。
本当にそう思って、沙菜の気持ちを変えたいなんて思わなかった。
なのに・・・
どんどん欲が出てきて、押さえられなくなっている。

───近いうちに沙菜にこの気持ちをぶつけてしまう
そう感じる。






たとえ離れることになってしまっても───
< 168 / 276 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop