愛しいキミへ
先月の半ばに席替えをして、俺と直哉の席は離れてしまっていた。
直哉は廊下側から二列目の前から三番目。
俺はラッキーなことに窓際の後ろから二番目の席。
自分の席に着いてマフラーをとったり、教科書を机に入れたりしていると、直哉が隣に来ていた。

おもむろに持っていた雑誌を机の上に広げられる。

「……【女性が欲しいクリスマスプレゼント特集】??」

広げられたページのタイトルを読み上げた。
すると、直哉が少し顔を赤くした。

「…クリスマスどこにも行けないから、せめてプレゼントぐらいはあげたいなと思ってさ…。」
「いいじゃん!…それで何で俺にこれを見せるわけ?」

ぺらぺらと雑誌をめくってみる。
アクセサリー、香水、洋服・・・色々とあるんだな・・・

「俺…付き合うの桜が初めてだし…何をあげればいいか、わかんねぇんだよ。雑誌買ってみたけど、色々載ってて迷うし…雅樹~!相談のってよ!!」

手を合わせて「頼む!!」とお願いされる。
・・・そう言われても

「俺だってわかんねぇよ。」
「…そう言わずにさ~!一緒に考えてよ!!」
「桜ちゃんの欲しいもの聞いて、あげればいいだろ?」

はぁー
ため息をついて直哉が俺を見る。
なんだ・・・その可哀想なやつを見るような目は・・・

「サプライズしたいじゃん!!本人に聞いたら楽しみがねぇだろ!?」
「じゃあ~自分で考えろよ…。」
「なぁーそんなこと言わずに!親友じゃん!!」

ニコニコと無邪気な笑顔を向けられた。
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