愛しいキミへ
ランチタイムを過ぎたファミレスは少し空いていて、待たずに席に案内された。
俺と直哉はドリンクバーを頼んだ。
グラスに氷とメロンソーダをいれる。
ちなみに直哉はホットココア。

「…では、雅樹くん。説明してもらおうかな?」

向かい合って座っているのと、直哉の口調で、なんだか面接をされている気分になるのは俺だけだろうか・・・?

「別に変なことじゃないよ。日払いのバイトを2~3日するしかないかなって思っただけだよ。」

冷たいメロンソーダをゴクリと飲みながら話す。
慣れない店に行って緊張していたのか、カラカラになっていた喉にシュワ~っとした炭酸が広がり、気持ちが良い。

「バイトか…。それしかないけど、時間ないじゃん。受験勉強だってあるんだし。」
「勉強は夜、いつもより長くやる。それにそこまで切羽詰まってないし。」
「そうだけどさぁ~。…まぁ雅樹が決めたなら、俺は止めないけど。」

熱いココアを冷ましながら飲む直哉。
反対はしないが、賛成もしないって感じだな。

「…でさ、ここからがお願いなんだけど…。」

飲んでいたココアを置いて俺を見る。

「…なに?」
「もうクリスマスまで時間がないから、学校サボってバイトしようと思うんだよ!」
「まぁ〜、今はサボりが多いから、それは大丈夫じゃん。先生に上手く言えってこと?」
「そうじゃなくて…サボるとなると、沙菜に理由を言わないといけないじゃん。でも、本当のことは言えないし、仮病も親を通じてバレるかもなんだよね。」

テーブルに手をついて、頭をさげる。
おでこがテーブルにつくんじゃないかってぐらい。

「頼む!!直哉と勉強ってことにしたいから、直哉もサボってくれ!!!」

友達に学校をサボってくれなんてお願い、最低だと思う。
でもこれしか考えつかなかった。
バレないで、沙菜が納得する理由。
こんなお願い、これが最初で最後だと思う 。
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