愛しいキミへ
別れ
──12月24日

午前中は学校の終業式だった。
クリスマスイヴということで、浮き足立っている人もいたが、その多くは後輩たち。
受験生は少し疲れた様子だった。

帰宅して、昼ごはんを食べたあとは沙菜の家で勉強をしていた。
プレゼントは鞄の中。
あげるタイミングを見計らっているが・・・なかなか渡せずにいた。

コンコン
ガチャッ
「勉強中にごめんね~。それじゃあ私たち出掛けてくるね。」

夕方、日が落ちてきて暗くなり始めた頃に、沙菜のお母さんが部屋に顔を出した。
横から俺の母さんも顔を出す。

「お金は置いておくから、夕飯は二人でピザでも頼んでね♪じゃあ沙菜ちゃん。雅樹をよろしくね〜♪」
「はい。いってらっしゃい。」
「いってらっしゃい。気を付けてな。」

俺の両親と沙菜の両親、そして悠兄の両親の六人でクリスマスディナーに行くらしい。
計画したのは母親達。
父親は連れて行かれるようなものだった。
俺の母さんは「トリプルデート」って浮かれてたっけな・・・

「ホントにお母さん達って仲良いよね♪」
「良すぎだろ~。父さん達は巻き添えだよな…。」
「いつも家のこと、お母さんにやらせてるんだから、たまには付き合わなきゃね!」

母さんに声をかけられたことをきっかけに、勉強をストップして話を始めた。
ずーっと勉強じゃ疲れちゃうからね・・・
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