愛しいキミへ
寒くないように上着を着て、二人でウキウキと屋上へと向かった。
外はキーンとするほど寒かった。

屋上に着くと、まだ積もってはいないもののたくさんの雪が降り続いている。

「すごい降ってるねぇー。」
「雪で景色が真っ白じゃん。駅が見えないよ。」
「…あっ。雅樹の頭に雪積もってきてるよ。」

沙菜はケラケラ笑いながら、右手を伸ばし、俺の頭にのった雪を背伸びしてはらう。
そういう沙菜の髪にも白い雪が、たくさんついている。
俺の頭に伸ばされている沙菜の手に触れた。
小さな手はとても冷たい。

「?雅樹、どうかした?」
「…手、冷たくなってる。雪はらうからだよ。」
「積もったままじゃ雅樹が冷たいよー?私は冷え性で元から冷たいから、大丈夫!」
「冷たすぎだよ。てか、沙菜も髪にたくさん雪ついてるっつーの。」

手を持ったまま、沙菜の髪についた雪を優しくはらう。

「ありがとうー。雅樹の手はあたたかいね。」

にっこりと優しさのある可愛い笑顔。
小さな頃からずっと見てきているのに、何でこんなに胸がキューッとなるんだろう

俺が持っていただけだった沙菜の手。
それがいつのまにか繋ぐようになっていた。

繋いだ手を引き寄せ、ふわっと包み込むように優しく抱きしめる。

降り続ける雪の中。
沙菜の温もりが心地よかった。

「暖かいなぁー。」

思ったことがそのまま言葉になる。
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