愛しいキミへ
「私…これもらえない!!」

ドンッ!
言葉とともに突き返されたプレゼント。

え・・・?
もらえない?

この状況に頭がついていかない。
血の気だけが、サーっひいていくのだけわかった。

「なんで……どうしてだよ?」

震える声で訪ねる。
こわい・・・返事を聞くのがこわい・・・

沙菜はうつむき、左手を右手で強くにぎっていた。

「…ここには悠ちゃんから貰った指輪があるの…っ。」



───悠ちゃんから貰った指輪



知ってる
わかってる

それでも、俺からの気持ちとして指輪をあげたかった。
つけて欲しいなんて思ってなかった。
ただ・・・

「…持っててくれるだけでいいんだよ。」

絞り出すように言った。
かすれた小さな声だった。

「つけてくれなんて言わない!悠兄の指輪取れだなんて言わない!!だから…受け取ってよ。」

必死の訴えにも、沙菜は顔をあげずに、うつむいたままフルフルと顔を振った。
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