愛しいキミへ
その姿に、どうしようもない怒りの感情が込み上げる。

「なんでだよ!!受けとるだけでいいんだって言ってるじゃん!!沙菜!!!」

無理矢理渡そうと、返された箱を沙菜の手元に押しやった。
それでも受けとろうとしない沙菜。

「…受け取れないってば!」

あまりにも俺がしつこく押し付けたため、沙菜が振り払った。
その勢いで箱が俺の手から、するりと落ちる。


カツーン


箱が落ちた勢いで、指輪が飛び出した。
落ちた地面はコンクリート。
見なくても指輪に傷が入ったのがわかる。

手から力が抜けて、持っていた俺の指輪も地面へと落ちる。

カツーン

落ちて転がっていった指輪は小さいうえに、降っている雪のせいでどこにいったかわからない。


「っごめん。」

指輪が落ちて、ハッと我にかえった沙菜。
すぐにしゃがんで指輪を探そうとした。
でも・・・

「探すな!!」

大声で叫んで止めた。

もういい
もう探さなくていい
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