愛しいキミへ
切ない光
「ホント沙菜のクラスってHR長いよな〜」

少し肌寒かった春が過ぎて、半袖でも過ごせるようになってきた6月。
いつものように学校の門で、彼女を待っている俺は、藤川雅樹(ふじかわまさき)高校三年生。
受験生になったという自覚がまだまだ持てていない。
行きたい大学も、したいこともまだ決まってないから仕方ないのかな?

そんな俺の日課になっているのが、HRの長いクラスになってしまった彼女を待つこと。

俺の彼女は若井沙菜(わかいさな)。
小さくて太ってるわけでも、痩せすぎなわけでもない可愛い感じの子。
セミロングって言うのかな?サラサラな髪が似合うんだ。

待っているのは、一緒に帰宅するため。毎日少しでも多く会いたいから・・・。
って言っても、家は同じマンションの、同じ階。彼女って言っても幼なじみの関係でもある。
だから、一緒に帰宅しないのは時間がもったいない!!
・・・なぁ〜んてね
早く来ないかなぁ〜
会いて〜よ

「雅樹ぃ〜!!」

沙菜が玄関の方から手を合わせて、俺の名を叫びながら走って来る。
いつも思うけど、そんな遠くから謝る体制とらなくても良いのに・・・可愛いやつ。
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