愛しいキミへ
「受かったの!?」

俺たちの声が聞こえたようで、キッチンにいたはずの母さんが部屋に来た。
ノックもなしに部屋に入ったことをいつもだったら怒るけど、そんなこと今日は気にならなかった。

「あぁ!受かった!!」
「おめでとう!!お父さんにも知らせないと…!」

母さんは慌ただしく部屋を出ていった。
直哉はというと・・・

「もしもし?俺!…そう!雅樹が受かったんだよ!!K大に!!」

誰かに電話でお知らせ中。
タケにでもかけてんのか?
すると直哉が俺に携帯を渡してきた。
それを俺は受けとる。

「雅樹の携帯借りるわ!タケに連絡する!!」
「は!?じゃあこれは誰に繋がってんの?」
「いいから話せって!」

直哉は俺の携帯を勝手にいじりだした。
訳もわからず持っている直哉の携帯を耳に当てる。

「もしもし…?」
「…はじめまして。宮里桜(みやざとさくら)です。」
「え…っと…もしかして直哉の彼女の桜ちゃん?」
「はい。合格おめでとうございます。」
「え!?あっ…ありがとう!」

電話に出ると、直哉の彼女の桜ちゃんに繋がっていた。
よく話は聞くけど、話すのは初めて。
すごく可愛らしい声の女の子だと思った。

「…急に電話渡されてビックリしましたよね?」
「うん…まぁ~直哉らしいと言えば直哉らしいと思う。」
「本当に嬉しかったみたいです。合格のこと。最近はいつもその話ばっかりでしたから!」

直哉が興奮のあまり桜ちゃんに連絡。
そしてなぜか話したことのない俺にかわった。
喜んでくれてるのは嬉しいが・・・少し落ち着いてくれ・・・
俺より喜んでるし
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