愛しいキミへ
合格発表の数日後、俺は母さんと一緒にスーツを作りに行った。
スーツを試着して鏡を見ると、全然似合わない気がした。
去年、スーツを着てる直哉を『スーツに着られてる』って笑ったけど・・・俺も着られてる感たっぷりだわ

これが似合う父さんはやっぱり大人なんだなって実感する。


入学するまでの間、直哉とタケと遊んだ。
他にも中学・高校の友達と遊んだ。

桜ちゃんとも初めて会った。
プリクラは見たことあったけど、実物はやっぱり可愛い。
直哉が惚れ込むのがわかる。

「こないだは直哉くんがごめんなさい。キツく言っておきましたから。」

にっこりと笑って桜ちゃんに言われた。
ほんわかした見た目なのに、しっかりとしているようで・・・それを隣で聞いた直哉は苦笑い。
これは俺に言わないだけで桜ちゃんのが強いな。


───入学式

着なれないスーツで参加。
たくさんの新入生の中に、予備校が一緒だった人もいた。
一緒に入学できることを喜んだ。

入学式は大学近くのホールでやったけど、終わったあとに俺は大学まで行ってみた。

明日からここに通うと思うと、すごく嬉しかった。



次の日からオリエンテーションや授業の選択と忙しくなった。
大学の入り口付近では色々なサークルの勧誘。
新入生はたくさん声をかけられて、解放されるまでに時間が掛かった。
もちろん俺も勧誘される。

「ねぇ君も新入生だよね?サークルって決めてる?」
「いや~…特には…。」
「じゃあうちなんてどう!?明日歓迎会があるから、それだけでもぜひ!!」

サークルのことなんて何も考えてなかった俺は、強い勧誘に戸惑うばかり。
断っても断っても・・・次々に誘われる。
今日は直哉と会う約束してるのに帰れねぇ~!!
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