愛しいキミへ
「ちょっとごめん!俺の知り合いだから借りるわ!」

困ったまま話を聞いていると、後ろから声を掛けられた。
ビックリして振り返ると・・・悠兄がいた。

「悠兄!?」

俺に笑顔を見せて、サークルの勧誘をしていた人と話し出す。

「悠太の知り合いなんだ~。じゃあ一緒にサークル入らない?」
「バイトが忙しいからパス!いつも言ってるだろ?」
「そんなこと言わずに、その新入生だけでも入ろうぜ!!」
「俺が誘っておくから、今は二人で話させてよ。」
「わかったよ。サークルの勧誘しておいてよ!」

悠兄に連れられて、勧誘の輪から抜け出すことが出来た。
助かった・・・

「一昨年は俺も苦労したよ。結構しつこいんだよな。」
「助かったよ。ありがとう、悠兄。」

悠兄は大学内にあるベンチに座った。
つられて俺も隣に座る。

「今年も大変そうだなぁ~と思って見てたら、雅樹がいたから驚いたよ。」

ちょっと待っててと悠兄がベンチを離れた。
数分もしないうちに戻ってきた悠兄の手には缶コーヒーが二つ。
その一つを俺に差し出す。

「入学おめでとう。ここで会えて嬉しいよ。」

久しぶりに見た悠兄の笑顔はとても優しかった。
・・・少し痩せた?

「ありがとう。俺も悠兄に会えて嬉しいよ!」

差し出されたコーヒーを受けとった。
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