愛しいキミへ
カッシュ
缶コーヒーを開ける。

悠兄が自分のコーヒーを俺のコーヒーに軽くぶつけた。

カンッ!
「宣言通り一年で合格したな♪」

乾杯のつもりなのか、ぶつけたあとに飲み始めていた。

「もちろん!遊ばないで勉強頑張ったんだからね。」

ニッと笑ってゴクリとコーヒーを飲んだ。
苦っ!!
これブラックじゃん!
普段は飲まないブラックコーヒーに顔を歪めた。

「あれ?雅樹はブラック飲めなかったっけ?」
「…飲めなくはない。大丈夫だよ。」

顔を歪めたのを悠兄に見られていた。
本当は苦手だけど・・・強がってみた。
だって悠兄は普通に飲んでるし、何か悔しいじゃん!

「無理すんなよ。」

強がってコーヒーを飲む俺を悠兄はケラケラ笑って見る。
無理して飲んでいるのはバレバレのようだ・・・。

「雅樹はしっかりとK大に合格したし…俺も約束果たさなきゃな。」
「約束?」
「お前が言ったんだろ?合格したら本心を話せって。」
「あ…っ。覚えててくれたんだ。」

K大受験すると悠兄に伝えた日に、俺からお願いしたこと。
忘れていた訳じゃないけど、悠兄から言ってくれるとは思っていなかった。
それに今は悠兄に久しぶりに会えたのと、大学の中で偶然会えたことが嬉しくて、約束のことが頭になかった。
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