愛しいキミへ
真実
夏休みも後半に入ったころ───

俺は大学から10分くらいのところに来ていた。
メールに書かれた住所を頼りに見つけたアパート。
青っぽい二階建てのアパートだった。

階段で二階に上がり、二つ目の部屋の呼び鈴を鳴らす。

ガチャッ
「よく来たな。入れよ。」

扉を開けて出迎えてくれたのは悠兄。
この日、初めて一人暮らしをする悠兄の家に行った。

「お邪魔します。」
「その辺に適当に座って。迷わなかった?」
「大丈夫だったよ。大学から近くていいね。」

1DKの部屋は物が少なくシンプル。
悠兄らしい部屋だと思った。

折り畳み式のテーブルの近くに座る。
すると悠兄が麦茶とスナック菓子を持ってきてくれた。

「こんなのしかないけど、食べながら話そうぜ。」
「ありがとう。俺もお菓子買ってきたよ。悠兄好きだったよね?」
「おぉー!気が利くじゃん!サンキュー。」
「まだ好きなんだね。」

中学の頃に悠兄が好きだと言って、よく食べていたコーンのスナック菓子。
家にお邪魔するからと買って持ってきていた。
今も好きみたいで良かった。

「てか、暑くない?クーラーつける?」
「暑くないよ。大丈夫。」

少し開いた窓からは良い風が入ってきて、クーラーをつけていなくても暑いと感じなかった。
悠兄の出してくれた麦茶もよく冷えていて、体の中を冷やしてくれる。
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