愛しいキミへ
「大学はどう?」
「楽しいよ!頑張って入って良かった。」

悠兄は俺と向き合って座った。
お菓子を食べながら、しばらく大学生活について話す。
悠兄も俺もサークルには入っていない。
お互い、友達の誘いが多いなど共通することがあった。

気づくと持ってきたお菓子も悠兄が出してくれたお菓子もなくなっていた。

「他にお菓子ないんだよね。コンビニに買いに行く?」
「いや…それは後にしない?」

言い出す機会がなかったから、今が良いタイミングだと思った。

「約束の話をしよう。悠兄の本心を聞きたい。」

ずっと聞きたかったこと。
でもいざ聞くとなるとためらい、話し出すことが出来なかった。
悠兄もこの話をするのを待っていたのか、俺の言葉を聞いて笑った。

「そうだな。その話をしにきたんだもんな。」
「うん。悠兄が沙菜と別れた理由はなんだったの?」
「やっぱりそれが気になるか…。」

どう答えればいいかわからない・・・そんな顔をする。
二人が別れた日からずっと気になっていた。
どんなに考えても、悠兄が別れを選んだ理由が思いつかなかった。

「…今日はちゃんと話すよ。その代わり雅樹も俺からの質問にちゃんと本心を話せよ?」
「わかった。俺も聞かれたことは正直に話すよ。」

悠兄が俺に質問・・・
何を聞かれるんだろう?
少し疑問に思いながらも、深くは考えずに返事をした。
悠兄に聞かれて答えられないことなんて俺にはないと思うし。

「とりあえず飲み物だけ取ってくるわ。」

悠兄は空になったコップを持って立ち上がり、冷蔵庫へ向かう。
コポコポと飲み物が注がれる音がした。
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