愛しいキミへ
『悠太お兄ちゃん、雅樹くん待ってよ~。』
この頃の沙菜は俺を【雅樹くん】と呼んでいた。
沙菜が呼ぶ声を聞いた母さん達が話し出す。
『沙菜ちゃんと雅樹くんは悠太のこと【悠太お兄ちゃん】って呼ぶけど呼びにくくないのかしら?』
『そうねぇ~。ちょっと雅樹達!こっち来て!』
母さん達に呼ばれてそばに行く。
『ねぇ沙菜ちゃん。雅樹くん。悠太お兄ちゃんって呼びにくくない?』
『でもお兄ちゃんなんでしょ?』
他になんて呼ぶの?
幼い俺はそう思った。
『そうだけど…じゃあ少し縮めて呼ぶのはどう?』
『ちぢめるって?』
『例えば【悠兄ちゃん】とか【悠ちゃん】とか!』
新しい呼び方に俺と沙菜は目を輝かせた。
『じゃあ俺は悠兄ちゃんって呼ぶ!』
『私は悠ちゃんって呼ぶ!』
この日からしばらくして俺は【悠兄】と呼ぶようになった。
友達がお兄ちゃんのことを「かず兄」と呼ぶのを聞いて、ちゃん付けをやめた。
───ずっと昔の記憶
悠兄に言われなかったら思い出すことなんてなかったくらい、些細な記憶だ。
「思い出したけど…それがどうしたの?」
沙菜が悠ちゃんと呼ぶようになった日のことは思い出した。
けれどその思い出が、どうして沙菜が俺を好きだということになるのかがわからなかった。
この頃の沙菜は俺を【雅樹くん】と呼んでいた。
沙菜が呼ぶ声を聞いた母さん達が話し出す。
『沙菜ちゃんと雅樹くんは悠太のこと【悠太お兄ちゃん】って呼ぶけど呼びにくくないのかしら?』
『そうねぇ~。ちょっと雅樹達!こっち来て!』
母さん達に呼ばれてそばに行く。
『ねぇ沙菜ちゃん。雅樹くん。悠太お兄ちゃんって呼びにくくない?』
『でもお兄ちゃんなんでしょ?』
他になんて呼ぶの?
幼い俺はそう思った。
『そうだけど…じゃあ少し縮めて呼ぶのはどう?』
『ちぢめるって?』
『例えば【悠兄ちゃん】とか【悠ちゃん】とか!』
新しい呼び方に俺と沙菜は目を輝かせた。
『じゃあ俺は悠兄ちゃんって呼ぶ!』
『私は悠ちゃんって呼ぶ!』
この日からしばらくして俺は【悠兄】と呼ぶようになった。
友達がお兄ちゃんのことを「かず兄」と呼ぶのを聞いて、ちゃん付けをやめた。
───ずっと昔の記憶
悠兄に言われなかったら思い出すことなんてなかったくらい、些細な記憶だ。
「思い出したけど…それがどうしたの?」
沙菜が悠ちゃんと呼ぶようになった日のことは思い出した。
けれどその思い出が、どうして沙菜が俺を好きだということになるのかがわからなかった。