愛しいキミへ
「ありがとう、雅樹。すっげー嬉しい!」
「呼び捨てにしただけだよ?」
「それが嬉しいんだよ。やっと雅樹と並べた感じ♪」

ふはっ
俺は思わず笑った。
悠兄も俺と並びたいって思ってたんだ。
急に笑った俺を不思議そうに見る悠兄。

「なに笑ってんだよ。」
「だって…俺と並べたって悠兄が喜んでるの見ると、ずっと追い付こうと必死だった俺がバカみたいでさ!」
「また【悠兄】って言ってるぞ!確かに笑えるな。」

二人でお腹を抱えて笑った。
他の人からしたら、こんなに笑うことじゃないって言うかもしれなけど・・・俺ら二人は笑った。

「悠太って…呼び慣れるには時間がかかるかもしれないけど…もうお兄ちゃんとは言わないね。」
「あぁ、俺も兄ぶらないよ?」

悠兄・・・じゃなくて悠太と並ぶのがこんなに簡単だなんて思ってもみなかった。
追い付けなかったんじゃなかった。
知らない内に俺が距離を作っていたんだ。

ぶわっと窓から強い風が吹いた。
悠太の机から数枚の紙が飛ぶ。

「もう外が暗いな…なんかご飯買いに行く?」
「うん。もう少し悠太と話したいな。」
「じゃあ…コンビニでいっか。行こうぜ。」

二人で近くのコンビニに行った。
お弁当とお菓子・・・お酒を少しだけ買って、悠太の家で食べた。
あっ・・・七月に二十歳になってるんで、お酒呑んでも問題ないんだな♪

食べて呑んでをして、気づいたら11時を回っていた。

「やっべ…もうこんな時間か。母さんに連絡いれてねぇ~。」

遅くなる時に連絡をいれないと、心配して怒られる。
もう二十歳だって言うのに、母さんは心配しすぎだと思う。
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