愛しいキミへ
ファミレスとかに入るのかと思ったけど、タケが「すぐに済むから」と言ったから帰宅方向へと一緒に歩く。
話しながら歩いていると、あっという間に俺のマンションの下についた。
タケの家はこの先にあり、ここから五分もかからない。

「少しだけ座ろうぜ。」

タケに促されて公園の中のベンチに座った。
暗い公園は静まり返っている。
リンリンッと鈴虫の鳴く声が小さく響く。

「なに?なんか話でもあんの?」
「話っていうか…一つ報告があってさ。」

ヒュウゥゥと風が吹く。
俺は急に吹いた風にブルッと身震いした。

「寒っ。良かったらうち来る?ゆっくり話せるぜ。」
「いや、もう時間も遅いし、すぐ終わるからいいよ。」
「おぉー。で、報告って何?」

普段はお喋りなタケが口ごもる。
何か様子がおかしい。
どんな報告なのか怖くなってしまう。

「何?どうしたんだよ。」
「いや~…実はさ……彼女ができまして…。」
「は!?いつ!??」
「今日。告白した帰りに雅樹のところに寄った。」

言いにくそうにするから何かと思えば・・・彼女ができたとかめでたいことじゃん!!
好きな人がいるとは聞いていたから、友達の恋が実ったことを純粋に喜んだ。
それなのに・・・当の本人は浮かない顔。

「彼女ができて嬉しくないの?」
「嬉しいんだけどさ…誰だかを雅樹に報告しなくちゃいけないんだよね…。」
「…誰なんだよ。」

タケが黙り込んで無言の時間。
そんな気まずそうにする相手って・・・
嫌な考えが頭をよぎる。
まさか・・・
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