愛しいキミへ
「なにそのぬいぐるみ。すげー可愛い。雅樹、買うの?」

横からタケもフニフニとぬいぐるみを触って、無邪気に聞かれた。

「何で俺がぬいぐるみを買うんだよ。触ってるだけだっつーの。」
「なんだ買わないのか。このぬいぐるみ触り心地すごいいいじゃん♪」

触り心地を気に入ったタケは、棚に並ぶ内の一つを手に取った。
笑顔でフニフニ触り出す。
タケとぬいぐるみのコラボ・・・以外と似合っている・・・

「気に入ったならタケが買えばいいじゃん。」
「いや~さすがに自分にぬいぐるみは買わないわ。…由香利ちゃんはいるかな?」
「知らねぇよ。自分で考えろよ。」

由香利へのプレゼントに追加するか、本当に悩み出すタケ。
チラッと値段を見ると、手頃な値段で買っても問題なさそう。
でもぬいぐるみって・・・好き嫌いに個人差が出るから、手軽にはあげられない。
タケが悩んでいると、時計を買い終わった直哉がこっちに来る。
手には買ったもの。

「お待たせ。ラッピングしてもらったから時間かかた…って、何で二人してぬいぐるみを持ってるわけ?」

大学生の男二人が並んで、それぞれぬいぐるみを持っているのは不思議な感じみたい。
笑って突っ込んだ直哉は、自分も並んでぬいぐるみを手に取って混ざる。
直哉も触り心地を気に入った様で、フニフニと触っていた。

「やべ~めっちゃ気持ちいい♪タケと雅樹はこれ買うの?」
「俺は迷い中♪雅樹は触ってるだけだってさ。」
「へぇ~。買えばいいのに♪」

俺をニヤニヤしながら見てくる直哉。
すごい笑われてる気分になり、手に取っていたぬいぐるみを元の場所へと戻す。
感じたことのないモヤモヤが心を暗くする。

俺の様子がおかしいことに直哉が気づいた。

「どうしたんだよ?なんかいつもとテンション違ってね?」
< 256 / 276 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop