愛しいキミへ
さすがは直哉というべきか・・・
俺の反応の違いがわかっている。

「いつもなら『買おうーぜ♪』なんて言ってレジ持って行きそうになるじゃん。」
「…彼女がいないのに買い物に付き合う気持ちなんて、わかんねぇだろ。」

ポツリと呟いた本心。
聞いていた直哉はため息をついた。
ぬいぐるみ選びに夢中のタケに声をかける。

「ちょっとそこのベンチにいるから!それ買っちゃえば?」
「う~ん…そうだな!初めてのクリスマスだし、プレゼントたくさんでもいいよね。買ってくるわ!」

レジに向かうタケ。
俺は直哉に連れられて、店を出たとこのベンチに腰かけた。

「…で?雅樹は何拗ねてんだよ。朝からテンション低いのがバレバレ。」
「当たり前だろ。二人は彼女の為に夢中で買い物してんのに、俺は混ざれないんだぜ?」
「自業自得だろ。いつまでもうじうじうじうじ悩んでるからだよ。」

冷たく言い放たれた言葉にさらにモヤッとする。
・・・全部知ってるのにその言い方はなくね?
沙菜と悠太が一緒にいたってことも話したばっかじゃん

「沙菜ちゃんに会いたいなら会いに行けよ。」
「…簡単に言うなよ。俺には沙菜しかいないのに…振られたら…。」

弱音を吐いた瞬間に、思いきり頭を叩かれる。
突然のことに驚いて、叩かれたところを押さえながら叩いた直哉を見る。

「それも覚悟の上で沙菜ちゃんから離れたんじゃねぇのかよ。頑張ってK大合格して、ずっと変わらずに沙菜ちゃんを想ってたこと、それを見せもしないで結果ばっかり気にしてんじゃねぇよ!」

強く言われて気づいた。
今日モヤモヤしていたのは幸せそうな二人が羨ましく思い、それを一緒に喜んで楽しめない自分に対してのイライラ。
二人にだって片想いの時があった。
悩んだり辛いこともあったはず、それでもそばにいたいから・・・自分から告白をした。
動けないで悩んでるだけの自分が情けなくて・・・
八つ当たりのような感じで、テンションが低かったんだ。
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