愛しいキミへ
でも・・・そんな久しぶりに見た沙菜の姿なんてどうでもよくなった。
沙菜はあのアクセサリーショップから出てきたのだ。

───隣にいたのは悠太

何が起こっているのかわからない。
母さんに聞いてはいたけど、半信半疑だったし、偶然会ったとかも考えられた。
でも・・・この目で見てしまった。
もう否定することも、都合の良い考えをすることもできない。

二人は本当に仲良く歩いていた。

息の仕方もわからない。
苦しくて・・・苦しくて・・・辛い・・・

直哉とタケが心配そうに俺を見ているのがわかる。
声をかけてこないのは、かける言葉がみつからないのだろう。
確かに、今は何を言われても慰めの言葉に感じてしまう気がする。

「…悪い。このあとのカラオケはパス。帰るわ。」

二人の返事を聞かないで、ショッピングセンターの出口へと向かう。
ひき止められた気もしたけど・・・振り返りたくなかった。
沙菜と悠太に気づかれないうちに、この場を離れたかった。

足早に駅までたどり着いた。
急いで電車に乗り込む。
混み合う電車の中では座ることが出来ず、ドアに体重を預けて寄りかかった。

ズキンズキンッと痛みだす心。
二年前についた傷が今さら痛みだす。

もう・・・一生消えないんだろうな

泣かない。
それだけに集中して電車に揺られた。

いつまでも悩んでいた俺が悪い
いつまでも沙菜から会いに来るのを待っていた俺が悪い

この痛みは全て自分のせい───
もう後悔しても全て遅いんだ───
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