愛しいキミへ
【若井 沙菜】

自分の目を疑った。
沙菜からのメールは二年ぶりで・・・驚いた。
携帯を持つ手が震える。

・・・このメールに何が書いてあるんだ?

メールがきて嬉しいはずなのに、怖くて開けない。
でも見ないわけにはいかない。
そんな戸惑う心と重なるように、鼓動が早くなり息が浅くなる。

目を閉じて覚悟を決めた。
深く深呼吸をして自分を落ち着け・・・メールを開く。
ピッ

───開かれたメールを見て、俺は事務所を飛び出た。
店を出たところで、俺のバイト終わりを待っていた中津さんに腕を引かれ止められる。

「ちょっ!そんな慌てなくても、ここにいるよ。どこに行こっか♪」
「…ごめん!用事ができたから一緒に行けない!」
「え!?なんで!?私のが先約でしょ?」
「そうだけど大事な用事なんだ。」

掴まれている腕を振り払い、中津さんから離れた。
二時間待ってた人にこれは申し訳ないけど、優先すべきは中津さんじゃない。

「だから、ごめん!!」

不満げな表情の中津さんに一言謝り、走ってその場を離れた。
後ろから何か怒鳴る声が聞こえた気がしたけど、気にせずに走った。

頭に浮かぶのはさっき開いた沙菜からのメール


【会いたい。あの日の場所で待ってます。】


はっきりした場所は書かれてないけど・・・絶対にあそこだと確信をもって向かう。
メールが届いた時間は今から四時間も前。
道行く人の隙間を必死で走って急いだ。
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