愛しいキミへ
一緒にいれば、また感情的になると思ったし、沙菜を忘れることなんて一生出来ないと思ったから・・・。

2人と離れていても、時間はどんどん過ぎていった。


夏が過ぎ─


秋が過ぎ──


寒い冬がきて──


新年がきて──


俺と沙菜は高校受験の日を迎えた。

2人とも志望校は、悠兄の行ってる高校。
距離をとっていても、1人だけ違う高校に行きたくなかった。
それに・・・悠兄が進学した時に、沙菜と行こうと約束してたから。
必死で勉強してきた。

受験の当日─
一緒に高校まで行った。
「頑張ろうね。」
「一緒に通おうね。」
って、応援してくれた。
沙菜の言葉を胸にしまって受けたからか、緊張もせずに落ちて問題が解けた。


合格発表の日─
2人で見に行った。
合格発表の紙を見る時、沙菜がすごく不安そうな顔をしていた。
「大丈夫だ。」
って声をかけて、背中をポンっとたたいた。
お互いに番号を見つけて、一緒に喜んだ。

「また、一緒に通えるね!」
「雅樹と一緒に受かって嬉しい。」
コロコロ笑いながら、言ってくれた。

トクン─
小さく胸が跳ねた。
沙菜の一言に嬉しくなった。

悠兄も喜んで祝ってくれた。
この頃には、ライバルと言いつつも、違う関係になっていたと思う。
その関係が何とは、はっきりと言えないけど──
ライバルでも、幼なじみでもない、歯がゆくて、切なくて・・・辛い関係。
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