愛しいキミへ

こないだは、２人が手を繋いで歩いている姿を、街の中で見つけた。
ただ、手を繋いでいるだけなのに・・・
俺の中は痛んだ。
ズキッて、音をたてて痛んだ。

小さい頃は、沙菜を真ん中にいれて３人で手、繋いでたんだけどな。

手を繋ぐことも、幼稚園の頃と違って、１５歳の俺には大きな意味を持っていた。


明日は卒業式─
って言っても、実感湧かないんだよね。
ここ最近、毎日のように卒業式の練習があるんだもん。
今日だって、午後いっぱい卒業式の予行練習。
寒い体育館に詰め込められて、起立・着席の練習。
全員揃わなきゃ、何度でもやり直し。
全クラス一人一人の卒業証書授与の練習。
あと、校歌と卒業式によく歌われる歌（曲名わすれた）の練習。

・・・ここまで前日に練習してちゃ、明日卒業式って言われたって、実感湧かないよ。

はぁ
体育館にずっといた疲れで、ため息をつきながら、帰るために下駄箱を開ける。

自分の靴より先に目に入ったのは、控えめにハートが載っているピンク色の封筒だった。
携帯が普及されている今の時代にラブレター！？
しかも下駄箱に入れるって・・・
少女漫画かよ
と、バカにしたようなことを思ったけど、内心どぎまぎ。
友達に見られたら、絶対からかわれる