愛しいキミへ
突然話しかけられて、びっくりする。

「物じゃないって…他に何がある？」
「欲しい物はないけど…して欲しいことなら…ある。」
「して欲しいこと？」

そういうことか！！
怒ってたんじゃなくて、物じゃなくてもいいか考えてたのか！
焦った・・・

「俺に出来ることならいいよ。」
「じゃあ…お願いがあるんだけど…。」

そういうと、また黙ってうつむいてしまった。
そんなに言いにくいお願いって、どんなことなのか少し、ドキドキしてしまう。

「雅樹と由香利ちゃん？」

突然話しかけられて、振り向くとそこには沙菜がいた。

「由香利ちゃん久しぶり！元気だった？」

笑顔の沙菜に対して、由香利の顔が一瞬曇った。

「沙菜…。久しぶり。元気だったよ～。沙菜も元気そうだね。」
「変わらず元気だよ。卒業してから全然会わなかったね。」

曇ったはずの表情を隠して、明るく話す由香利を見て心が痛んだ。
沙菜と由香利は、中学三年の時にクラスメイトだった。
二人とも明るく、誰とでも仲良くなるタイプだから、仲良くしていたはず。
そんな二人が疎遠になったのは俺が原因。
自分の彼氏の想い人なんて嫌になるに決まっている。
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