愛しいキミへ
「…沙菜。大丈夫か?」
「大丈夫!忙しいんじゃ仕方ないし!…ていうか、お邪魔しちゃってごめんね。由香利ちゃん、今度遊ぼうね!」

ばいばいっと良いながら、友達のところへと向かっていった。

「「…。」」

無言が続く。
・・・由香利にバレてしまった

「沙菜に私と付き合ってるって言ってなかったんだね。」

ぽつりとこぼされた言葉。
すると、突然荷物を持って立ちあがり、出口へと向かい出した。

「ちょ…っ由香利!?」

ガンッ!!
慌てて立ち上がったせいで、テーブルに膝を、思いっきりぶつけてしまった。

「~っっ!…痛ってぇ……。由香利!待てよ!」

テーブルの上をそのままにしていくわけもいかないので、急いで片して後を追う。
すでに店の外に出てしまっていた由香利を追うのは大変だった。
じんじんと痛む膝。
なかなか追い付けない。
それでも、必死にあとを追う。





「──っ待てって!!」

なんとか追い付き、由香利の腕を掴んだ。
走って乱れた呼吸を必死で押さえる。
由香利も肩を上下させ、息をしていた。
俺の方を見ようとはしない。
腕を掴まれても、俺に背を向けたままだった。
< 46 / 276 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop