愛しいキミへ
静かに、由香利の正面に動く。
向かい合ったその顔は、涙でボロボロだった。

「由香利…。」

大粒の涙が、いくつもいくつも落ちていく。

「…それでも私は…雅樹くんの彼女でいたい。そばにいたい。」

ぎゅっ
俺のシャツのを掴んだ。
まるで、離れていくものを必死で繋ぎ止めようとしているみたいに・・・。

「由香利…。俺は別れる気なんてないよ?沙菜に嘘ついてたのは本当にごめん。」

涙をたくさん溜めた瞳が、俺をまっすぐと見つめた。
その間も、涙は落ちていく。

俺は勝手だ。
これだけ傷つけて、別れないなんて・・・
普通だったら、俺が振られている立場だ。
本当は・・・別れるべきなんじゃないか?
いつまでも利用しているなんて、許される訳がない。



「…付き合って二年の記念日のお願い聞いて。」

真剣な声で伝えられた。




「付き合った日、付き合ったこの場所で、私のことを好きだと言って。」
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