愛しいキミへ
「ありがとう。雅樹に言われたら、大丈夫な気がしてきた!…私が、子供すぎるから悠ちゃん、怒っちゃったのかな。」
「絶対にそうだって!どうせ一人暮らしするって聞いて、『何で、私に言ってくれなかったの!?ひどいよ!悠ちゃんのばか!!』みたいなこと言ったんだろ?」
「………当たってます。」

自分の対応を言い当てられて、しゅんっとする。

「感情的になりすぎなんだよ。悠兄の話を聞いてやれ。…こんな彼女疲れそう~。」
「雅樹の彼女じゃないもん!由香利ちゃんより子供でごめんね!」

ぷくっと頬を膨らませてすねる。

「はいはい。子供なのわかったら、早く悠兄に謝る。」
「うん。雅樹、話聞いてくれてありがとうね。」

にっこりと笑顔になる。
コロコロと表情を変える沙菜を見て、もう大丈夫だと思った。
見ていて飽きないくらい、色んな表情をする。
これがいつもの沙菜だ。

「じゃあ、遅い時間にごめんね。また明日、学校でね。」

静かにドアを閉めて帰っていく沙菜を見ると、頭をよぎっていた言葉を、言わなくて良かったと思う。

『そんな悲しい顔するなら、別れれば良い』

きっと、もっと悲しい顔させてた。
俺の言葉で元気になってくれたんだから、今日はこれで良かったんだ。
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