愛しいキミへ
ただ・・・
沙菜にああ言ったものの、悠兄の態度には違和感がある。
確かに受験明けで疲れていると思うけど、他人に当たるなんて、悠兄らしくない。
そこは、俺も心配になる。

電話帳を開き、悠兄に電話をかける。
10回ほどコールしたものの、着信に答えることはなかった。
ふと、時計を見ると1時15分。

「もうこんな時間じゃ寝てるか。」

とりあえず・・・メールでも入れておくか

悠兄にメールするのは久しぶりで、なんだか緊張した。
少し考えながら、文章にしていく。

【久しぶり!元気?第一志望の大学に受かったらしいじゃん!
おめでとう。K大に受かるなんて、さすが悠兄だなぁ~
さっきまで沙菜と話してたんだけど、どうかした?
沙菜に怒るなんて、悠兄らしくないよ。
一人暮らしとか、大学とか、色々あるかもしれないけど…沙菜、泣いてたよ。
早く仲直りしなね!
じゃなきゃ、俺が沙菜奪うよ?
…なんて冗談!なんかあったら、話してよ。待ってる。】

『奪うよ』
これを見ればきっと沙菜に優しい悠兄に戻ると思った。

───沙菜を渡す気ない

俺の気持ちを知ったときに、悠兄が言った言葉だ。
この言葉は今も変わらず…嘘になんてなるはずがないんだ。
そう自分に言い聞かせて、メールの返事を待たずに、眠りについた。
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