愛しいキミへ
卒業
-1週間後
今日は高校の卒業式。
まだ冷たい風の中に、少し暖かさを感じる。
桜の枝に小さくついた花の蕾が、今日という日を祝っているようだ。
去年の卒業式は、帰宅部の俺にとってただ長い時間、椅子に座っていないといけない、つまらない時間だった。
でも、今年は違う。
悠兄が卒業生の中にいる。
周りから見たら、ただ仲の良い幼馴染みだろう。
でも、兄弟のいない俺にとって悠兄は今でも、本当の兄みたいな人だ。
だから今日の卒業式は、すごい嬉しいんだ。
卒業式──
入場する卒業生の中に悠兄を見つけた。
久しぶりに見た悠兄は、少し痩せた気がした。
それでも、相変わらずかっこいいままで、人目を惹いた。
式が進むにつれて、静かな体育館にはすすり泣く声や、鼻をすする音が響いた。
それは卒業生だけでなく、別れを惜しむ在校生のものも混ざっている。
斜め前の方を見ると、少しうつむく沙菜の後ろ姿があった。
悠兄が卒業することもあるし、涙もろい沙菜はこの雰囲気のなか、きっと泣いていると思った。
その姿を想像すると、微笑ましく感じつつも、寂しい気持ちが移り、俺まで泣きそうになってしまった。
隣の奴に気づかれないように、俺もうつむいた。
今日は高校の卒業式。
まだ冷たい風の中に、少し暖かさを感じる。
桜の枝に小さくついた花の蕾が、今日という日を祝っているようだ。
去年の卒業式は、帰宅部の俺にとってただ長い時間、椅子に座っていないといけない、つまらない時間だった。
でも、今年は違う。
悠兄が卒業生の中にいる。
周りから見たら、ただ仲の良い幼馴染みだろう。
でも、兄弟のいない俺にとって悠兄は今でも、本当の兄みたいな人だ。
だから今日の卒業式は、すごい嬉しいんだ。
卒業式──
入場する卒業生の中に悠兄を見つけた。
久しぶりに見た悠兄は、少し痩せた気がした。
それでも、相変わらずかっこいいままで、人目を惹いた。
式が進むにつれて、静かな体育館にはすすり泣く声や、鼻をすする音が響いた。
それは卒業生だけでなく、別れを惜しむ在校生のものも混ざっている。
斜め前の方を見ると、少しうつむく沙菜の後ろ姿があった。
悠兄が卒業することもあるし、涙もろい沙菜はこの雰囲気のなか、きっと泣いていると思った。
その姿を想像すると、微笑ましく感じつつも、寂しい気持ちが移り、俺まで泣きそうになってしまった。
隣の奴に気づかれないように、俺もうつむいた。