愛しいキミへ
「小物入れかな…?」

沙菜が呟き、りんごの上の方を開いた。

ぱかっ
「えっ……。」

軽い音と共に開かれたりんごの中を、沙菜は見つめた。
りんごの中には・・・








シルバーの指輪

「これ…ペアリング?」

沙菜は指輪を取り出し、左の薬指へとつけた。
その指輪は、沙菜につけてもらうのを待っていたかのようにピッタリだった。

「すごい…ピッタリだ…。」

嬉しそうに呟き、指にはめた指輪を愛しそうに見つめる沙菜に、ぎゅーっと胸が苦しくなる。
わかってたことじゃん
二人が大丈夫なんてこと・・・
壊れるわけないと思いつつも、心のどこかでずっと期待していた。
だから、プレゼントに喜ぶ姿が心に突き刺さった。

「…だから大丈夫って言ったじゃん。俺…もう行くわ。」

耐えきれなくなり、沙菜の顔も見ずに部屋を出る。
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