愛しいキミへ
沙菜を見ていた俺。
だから、うすうす感づいていたのかもしれない。
沙菜が俺を見ていないことを・・・
幼なじみとしてしか、一緒にいなかったことを・・・

そして─
悠兄の気持ちも・・・


悠兄が中学に上がった年の春。

登下校は二人になったものの三人の幼なじみは続いていた。

今考えると続いていたんじゃなくて、悠兄が続けてくれていたんだと思う。

この頃から沙菜に振り向いて欲しくて、必死だった。

「悠ちゃんいないと寂しいね。」

って、沙菜が言うたびに落ち込んだ。
俺がいるじゃんって思った。

いつからか…
悠兄がいない時間を大切にする自分がいた。
─ずるい考え方だった


俺と沙菜も中学に上がり、また三人の登下校が始まった。

部活とか友達関係とかがあって前ほど一緒にいられたわけじゃない。
それでも、仲良しだった。

結構、この三人の幼なじみ関係は有名だった。
小学校からの知り合いが多かったから当たり前か。



中学に上がってから沙菜はさらに可愛くなった。
悠兄も・・・かっこよくなってた。
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