愛しいキミへ
【悪い!今日サボる!先生には体調不良とお伝えください(笑)】
クラスの友達にメールを送る。
気心の知れたやつだから、嘘は言わずにサボりを伝えた。
すると・・・すぐに返事がきた

「…やべっ」

笑いを含みながら、一言溢れる。
【お前…サボりの連絡は良いけど時間考えろよ。朝早すぎ!!早起きしてんなら学校来いや!】
自分が早起きしていたことを、すっかり忘れていた。
しかもコイツ、学校から家が近くて起きるのギリギリだって言ってた気がする。

とりあえず謝りのメールを入れ、受信メールの一覧を見る。

友達の名前の下には【青柳由香利】の名前。

昨日の夕方、由香利から届いたメールをもう一度読む。

【明日は夕方…二年前に雅樹くんが会いに来てくれた時間に待ってます。】

今日は由香利との記念日──
卒業式の日から、あっという間に一週間が過ぎてしまった。
学校をサボると決めた理由は頭が重いだけじゃない。
由香利と会うことを考えると、ソワソワしてしまい学校どころじゃないってことも理由だ。

「好きって…言えるかなぁー…。」

考え出すと止まらなくなるし、気持ちを落ち着けようと目を閉じる。
持っていた携帯を枕元に置き直し、真っ暗な世界に浸る。
雨の音以外、なにも感じない。
起きた時はあんなに不快だったのに、今はザアァァという一定の音が眠りを誘い、心地よかった。
時間まで寝よう
なにも考えちゃいけない
夢も見ない、深い眠りへと落ちていった───
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