愛しいキミへ
「……沙菜?どうした?」
「…鞄ありがとう。どうしようと思ってたから助かった。」

少しかすれた声で話始めた。
それなのに「雅樹、風邪ひいた?大丈夫?」と俺の心配をしてくれた。
思ったより元気な雰囲気に、少しほっとして電話を続けた。
沙菜もびしょ濡れで帰って、親に怒られたらしく、子供みたいだと笑い合って、しばらく他愛もない話をした。
すると、沙菜が突然黙りこんだ。

「…………沙菜…?」
「……さっきの…屋上での話なんだけど……。」

ドックン!
きたぁ~!!!
急に話が始まり、緊張が走る。
心臓がドクドクしすぎて、なんだか気持ち悪い・・・

「…うん…なに?」
「……………ごめんね。」





────終わった
振られた・・・・
あんなに激しく心臓が動いていたのに止まるかと思った。
俺じゃ無理ってことだよな・・・

「…ずっと…気持ちに気づかなくてごめんね。」
「へ?」
「…なに?その気の抜けた声…。」

いや・・・
だって振られたと思ったから・・・
そういう意味のごめんだったのか~

「べ、べつに何でもないよ!」
「ふーん。ちゃんと…話きいてよ。」
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