愛しいキミへ
「あのさ〜これから沙菜が来るからお菓子とか用意してくれない?」

俺の言葉を聞いて、ビデオを一時停止してから振り向く。
そんなにビデオが大事か・・・

「お帰り〜。あら、沙菜ちゃん来るの?久しぶりじゃない〜」

何がいいかしらっとつぶやきながら、準備を始める。
準備は任せて、俺も沙菜が来る前に着替えようと思い、部屋に向かって歩き出した。

「あっ!ちょっと雅樹っ!」

呼び止められて、面倒くさそうに振り向く。
母さんが話しを始めると長いんだよなぁ〜

「なんだよ。沙菜が来る前に着替えたいんだけど。」
「それくらいの時間あるわよ。ちょっと、沙菜ちゃん来るなら悠ちゃんも来るの?」

悠ちゃん・・・か

「…来るのは沙菜だけ。悠兄が来るわけないじゃん。」
「そうなの?昔はいつでも三人だったのに…まぁ悠ちゃんは大学生だものね〜。あんたとばっかり遊んでられないか。」

俺からの返事を聞いて、ぶつぶつと喋っている母さん。
もう行っても平気だと判断し、再び部屋に向かう。
けれど、母さんの言葉が耳に入ってきてしまい足が止まる。
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