愛しいキミへ
母さん相手に妬かなくても良いヤキモチを妬く。
俺って恋する乙女、改め、恋する少年じゃね?
はい、何言ってんだか・・・

「お久しぶりです。」
「久しぶりねぇ~♪近くに住んでるのになかなか会う機会ないものね-。しばらく見ないうちにまた、可愛くなっちゃって~。」

ころころ笑う母さんの話を、笑顔で聞いている沙菜。
こういう時に、ちゃんと会話に付き合うところが好きだ。
俺なんか、母さんの話聞くのめんどくさくて、最近はすぐに流して逃げる。
そのせいで話足りないのか、沙菜を相手にめっちゃ話し込んでる。
てか、沙菜は俺に会いに来てるんだけど・・・
背後の息子にすら気づかない。

「昨日会った悠ちゃんもかっこよくなっちゃってて…。うちの雅樹なんて何も変わりもしない…。」
「え…。悠ちゃん…?」
「そうなのよ~。昨日廊下で会っちゃって♪あら…そういえば、沙菜ちゃんと悠ちゃんていつ別れてたの?」
「は~い!!!母さんのスピーチ時間はそこまでっ!!!」

沙菜の表情が変化したのを見て、すぐさま会話を止める。


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