彼と彼女
「おまえって、…変わってるよな。」

少し驚いた顔をドアから覗かせる先生。それって褒め言葉じゃないよね?ちょっとムッとして質問する。

「なんで?」

「いや、そんなもん欲しがる奴なんかいないって、普通。」

「そうなの?あたし好きだよ。」

「ふーん。そりゃぁ光栄なこった。」

ふん、と鼻で笑って引っ込む先生。心の中で付け足した。先生の創り出す作品も、先生もね。

窓の外は、もう空が橙色に染まりかけていた。

明日も遅くまで残って校門まで一緒に歩けたらいいな、なんて思いながら、あたしは木屑を集めてゴミ箱に棄てた。
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