★地味な女と学園王子☆
『南…』
加山月はボソッと私の名前を呟きスッと立ち上がった
足音が遠ざかっていく
止めるか、止めまいか
どうしよう…
「か、加山月!」
私はベッドから素早く体を起こし大声で加山月の名前を口にする
『お…、おきっ!起きて…っ!』
驚きの表情を隠しきれていないばかりか、加山月はみるみる顔を真っ赤に染めていく
「…キス、していいなんて言ってないです」
『いや、そ、く、口にはしなかったよ!?』
私の言葉に慌てる加山月は会話はするものの私と目を合わせない
「そういう問題じゃありませんよ…」
『…う、うん
そう…だな…。』
言った途端怒ってるって思ったのか、加山月はひどく落ち込んでいる
「……今回だけ、許してあげます」
加山月を見ていたら、なんだか自分が悪いことをしているみたいで、自然にそう言葉にしていた
加山月は分かりやすいくらいにパァッと明るくなっていく
こんなに分かりやすくて
さっきまで加山月が本当に私を好きなの?なんて疑ってたのが馬鹿みたいに思えてくる
『ありがとう』
安心したのかフッと笑みをこぼした加山月は可愛くて、格好よくもあって
少し、すこーしだけど
ドキッとした