★地味な女と学園王子☆
私のお母さんとお父さんは凡人だから
『あ、私は妻の安佐奈アスナです
こっちが旦那の湊』
お母さんも加山夫婦に続いて自己紹介
でもこっちはお母さんが自己紹介をしてるだけでお父さんはペコペコとお辞儀をしてるだけ
しかも酒を片手にってオッサン丸出しでなんだか嫌になる
『あともう知っているようですが息子の月です』
加山月のお父さんはそうニコッとかっこよく笑いながら体を斜めにする
後ろには加山月がいたみたい
『たびたびどぉも…』
加山月はぺこっと一礼してみせた
この展開、雰囲気
今からお母さんが何を言ってくるのかよめる気がする
『やっぱりカッコいいわねー、月くん
性格も礼儀もいいし』
いい歳して頬をそめながら加山月をみるお母さんは恋する乙女みたいだ
『ウチの娘はねー…』
とつぶやきながらお母さんは私の方を振り向く
『南、来なさい
加山さんがおいでだからちゃんと自己紹介するのよ』
私に手招きをして言うお母さん
私は素直に出ていった
『…娘の南です』
無愛想にそれだけ言って一礼
『よろしくね、南ちゃん』
それなのに光さんと星さんは私を優しい目で見て微笑み返してくれた
そんな二人が暖かくて、私の頬は自然に緩んでいく
そんな時―…
『パジャマ…』
ボソッと呟きが聞こえた
その声の主に顔を向けてみれば口に手をあてクスッと笑う加山月がいた
パジャマって呟きに私は自分の格好を上から下に見てみる
ちゃんとした服じゃなかったことに恥ずかしさを覚えて顔を真っ赤にさせる