★地味な女と学園王子☆
『ねぇ…
ねぇ、安佐奈南?』
加山月の呼ぶ声
その声で私はハッと我に返った
「な、なんですか?」
『南って呼んでいい?』
なにを言いだすかと思えば…
「……いいですよ」
特に断る理由もなく私はOKをした
途端加山月はうれしそうな表情をして
『ありがとう』
と言った
どれだけこの人はカッコいいんだろう
どれだけの人を夢中にさせるんだろう
どれだけ、純粋なんだろう…
加山月を見ていると、そんな疑問が次々と浮かんできた
やっぱり、私とは正反対な人
加山月がキラキラ輝く太陽なら、私は皆に嫌われる雨
ジメジメしていて、誰にも受け入れられることなくただ勝手に降っている雨なのかもしれない
私には、とてもじゃないけど、釣り合わない
『南は、俺のこと月って呼んでね!
隣近所なんだからいつまでもフルネームなのもさ!』
ニコッと笑う加山月は眩しかった
誰にも受け入れられることがなかった私
存在を消されてた私が、ここにいていいんだよって
ここにいるよって、言われてる気がした
だからこそ、
こんな優しすぎる加山月だからこそ…
「……月」
『なに?』
「私を好きなのはやめてください」
『…は?なに言ってんの?』
意味分からないというふうに眉をひそめる加山月だけど、私はかまわずに言葉を続ける
「私を好きにならないほうがいいんですっ」
皆に、加山月がなにか嫌なふうに思われるのは嫌なの
こんなに心が広くて優しい人は、皆の太陽でなきゃいけないの
『好きにならないほうがいいって何?
好きでいるのは俺の勝手でしょ?
南が決めることじゃ…』
「月、分かりますか?
釣り合わない二人は…
太陽と雨は、恋に落ち合ったらいけないんですよ」