★地味な女と学園王子☆






南を真っ直ぐ見据えて言うけど、南は俺から目をそらしてばかり




『南…』



「月くん…」



『ってか何でくん付け?』



疑問に思い、聞いてみると、南は戸惑いながらも答える




「や、やっぱりっ
呼び捨ては慣れなれしいので…」



俯いて顔を真っ赤にさせながら言う南



それだけで、そんな南が愛しく思うのは、おかしいことか?




人を好きになるって、こんなもん?




「つ、月くん」



『あ、だから南が決めないで!

分かった?』



「は、はいっ
分かりましたッ


そ、それよりも…」




『それよりも?』




「じ、時間…
遅刻しちゃうよ」



遠慮がちに俺を上目遣いで見ながらケータイを開いてみせる



ケータイにある時間を見てみれば



8時を示していた



ここから歩いて約10分
遅刻ギリギリになる




『急ごッ』



「ひゃッ」



南の手を取り走る俺
それに一生懸命着いてくる南





どさくさ紛れに手つないでしまったけど



南も走ることに集中してて気にしてないみたいだし、いいかな…




俺が得なだけで南になにかあるわけでもないし




走りながらの俺

走っていて疲れているはずだけど、俺の頬は緩んでいた




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