Family!
***********************


それは、俺、翔が中3の出来事だった。


「尋兄、優兄、珪兄、空兄、俺、スニーカーが欲しいんだけど……」


「だけど?」


「お金が足りないんだ…だから…」


‘お小遣前借りさせて?’って言おうとしたら、


「分かった。プレゼントするよ。ちょうど、もうすぐお前の誕生日だしな」


尋兄が微笑んでそう言った。


「マジ!?ヤッターー!!」


俺は一気にテンションが上がって、この時、兄ちゃんたちが顔を見合わせたことが分からなかった…





夜。


俺は、水を飲みにキッチンに行こうとした。


すると、リビングから、兄ちゃんたちの声が聞こえた。


「翔のスニーカー、買えるかな?」


「ちょっと厳しいかもな…」


「俺らのバイト代で足りるかな?」


「俺、前の日給料日だから、お金出すよ」


「ゴメン。珪。後で返すから…」


「大丈夫だよ尋兄」


……………今月、厳しかったのか。


気付かなかった。


自分のことしか頭になくて。


< 21 / 32 >

この作品をシェア

pagetop