鈍感彼女と無口な彼氏
「美緒、そろそろ戻ろうか。寒いでしょ?」
美緒の妄想には付き合いきれないから俺は美緒の話を聞き流した。
「うん。寒い」
「ほら」
俺はそう言って手を美緒の前に出した。
美緒は微笑みながら俺の手を握った。
─────────…
「ねぇ飛鳥」
繁華街を出て、もうすぐで陸の家に着く所で美緒が話しかけてきた。
「何?」
「私ね、今日飛鳥と一緒に過ごせてすっごい楽しかったよ!」
「…うん」
「今年は光や陸くんと一緒にパーティーしたけど、来年は二人で何処かに出掛けようね!」
美緒はそう言うと俺の目を見て笑った。
俺が一番好きな笑顔で。
「うん、来年は美緒の好きな所に連れて行ってあげるよ」
「本当?」
「もちろん」
当たり前。美緒のためなら何処にでも連れてってやる。
来年も再来年も、ずっと一緒に過ごす。