甘すぎる王子様
『花形さんだっけ?大名寺くんに触らないでほしいよねっ』


由衣先輩はあたしの様子に気付いたのか、ワザと大きな声で言った。


『そーそー。今日入ったばかりなのに、大名寺会長がいるから入ったってゆーか!!』


モッチ先輩も怒ったように言っていた。


すると、花形先輩はあたしたちのことを一瞬睨んでは、また旬樹にベタベタして‥‥‥


旬樹、
なんか一言ガツンと言えばいいのにっ!!


‥こんな姿、見たくないなぁ‥。


あたしは視線をそらし、デザインに集中した。


『ねぇ~♪旬樹さまぁ!今日一緒に帰りましょ?』


『ダメ。俺は琴音と帰る。兄の義務だから』


『え~!沙織のことは大切じゃないのぉ?』


『まったくもって興味がない。栗原と仕事をしてくれ』


そう言って、旬樹は席を外した。


『もぉ~!!』


花形先輩は口を尖らせて、仕方なく栗原先輩のもとへ言ったようだった。


『栗原瑞季もこれから大変かぁ。二年の第2の王子様なのになぁ』


由衣先輩は呆れたように言った。


『‥第2の、王子様‥ですか?』


あたしはワケが分からなかった。


『そうそう!一番が大名寺くんだけど、二番が栗原なの。結構カッコイイでしょ?』


あたしは由衣先輩に言われて栗原先輩を見てみた。


‥あ、結構カッコイイ‥


少し消極的な感じだけれど、優しさがつまっているような‥


そんな先輩だった。
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