甘すぎる王子様




『‥ッ琴音さん!』



すべてを見ていた岡本さんがあたしのところに駆けつけてくれた。



『‥岡本さん‥旬樹、あたしのこと‥』



全部言えずに、あたしの目には涙がたまった。



『‥いいわよ、好きなだけ泣いて?けど、すぐに思い出すと思うわ‥琴音さんのこと』



あたしのことを抱き締めながら、岡本さんは微笑んだ。



『‥すぐに‥思い出す?』



『ええ。琴音さんは旬樹さんに、自分のことを必死で思い出してもらえるように、努力するのよ?そうすれば、旬樹さんはすぐに思い出すハズ‥簡単に忘れて離れる恋じゃないもの』



岡本さんはピースサインをした。



‥‥簡単に忘れて‥

離れる恋じゃない‥‥



確かに‥そうだよね‥?



あたしたち‥‥


ずっと想い続けてきた兄妹だもんっ―――‥



きっと‥

きっと‥‥



思い出してくれるよね‥?
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