甘すぎる王子様




‥‥その夜、


食堂でママとパパからの話を聞いた。



医者が話した内容は、やっぱり脳の後遺症である特定人物の記憶喪失だという。



ほとんどの人の名前や顔は分かるのに、どうしても1人だけ誰か分からない‥‥



自分との関わりがなんであったかも忘れてしまっているという‥



『けど先生がね、琴音がどうにかして旬樹に思い出してもらうしか方法はないんだって。思い出す薬なんてないからね‥って』



ママは真剣に話してくれた。


薬も何もない‥‥


だからあたしが

努力しないといけないんだよね‥‥?



『記憶がある日突然、ふっと思い出すこともあるらしい。だから琴音、ゆっくり時間をかけて旬樹に思い出してもらうんだぞ?』



パパは優しくあたしの頭を撫でた。



『‥うんっ!あたし、頑張るね!!』



あたしは力強く返事をした。


そうだよ‥そう!!



きっと、あたしにしか出来ないこと。


どうにかして、


あたしを思い出してもらわなくちゃ‥!!



あたしは旬樹に思い出させる方法を考え始めた。
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