甘すぎる王子様
『‥そんな、急に‥。旬樹は体調大丈夫なの?』
『大丈夫だよ。思い出せそうな気がするんだ‥だから行ってくるね』
旬樹は柔らかい笑顔をママに見せた。
『そう‥じゃあ気をつけていってきてね?』
ママは心配そうにあたしの肩を抱いた。
『うん!行くね!』
あたしは旬樹を車イスにのせ、家来が運転するリムジンに乗り込んだ。
『はぁ、沖縄楽しみだな。海が綺麗だった記憶が残ってるよ』
旬樹はワクワクしながら言った。
‥その姿が可愛くて‥
愛しすぎて‥甘すぎて‥
早く思い出して、ごめんなって笑ってほしかった。
ごめんなって抱き締めてしてほしかった。
ごめんなって‥キスしてほしかった‥‥。
『そういえば、あの映画のラストはどうだったの??』
あたしが聞くと、旬樹はニコニコしてナイショと笑った。