不協和音は愛の始まり
実際、川畑のお母さんは意外性に満ちた人だった。

夕方、私が川畑邸から荷物を持って出る時、川畑邸の前に停まった一台のハイヤーから颯爽と降りて来たゴージャスな美人が川畑のお母さんだった。

黒塗りの高級車、グレーの毛皮のロングコート、ヒールの高い黒皮のブーツ、クルクルに縦パーマがかかった長い茶髪はラメが散りばめられてキラキラと輝いている。
小顔を強調させる、大きめのサングラスの似合うこと。
華というかオーラというか…私みたいな一般人とは明らかに違う川畑のお母さんに、私はびっくりして思わずたたずんで見入ってしまった。
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