不協和音は愛の始まり
だけど、本当のギャップはここからだった。

「せいちゃん、せいちゃん!」

ブーツを脱ぐ間も惜しむように、脱ぎながら玄関で声を上げるお母さんには驚いたけれど、それは久しぶりの再会だからかなと自分を納得させた。

だけど、だけどっ…

「今行くよ」
苦笑気味な声の後で舌打ちと共に現れた川畑に、お母さんはブーツを放って抱きつき、頬にキスしたのだ。
う、そっ…!?
一瞬だったけれど、川畑の頬にはくっきりと紅い唇の跡が残っている。
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