不協和音は愛の始まり
突然見せつけられた美男美女のラブシーンのような光景に、私は目眩を起こしそうだった。
もう、どう考えても私の理解の域を越えている。

でも川畑は予想がついていたのか慣れた様子で抱擁を受け止めて、お母さんの背中にまわした手で子供をなだめるかのようにポンポンと優しく叩いた。

そして親指で自分の頬の口紅をぬぐって、お母さんを諭すように言った。
「外国じゃないんだから、ママ。恭子が見たら驚いてしまうよ」
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