不協和音は愛の始まり
リビングの入口で目が点になっていたら、洗面所の方から水音がして、顔を洗って来たらしい川畑が舌打ちをしながら青白い顔で現れた。
「恭子…すまないが落ちてる物を片付けてくれないか」
川畑はソファーのいつもの位置にだるそうに斜めに座ると、頭が痛い様子で片手でこめかみを押さえた。
「母に付き合って飲みすぎてしまった」

私はお酒が嫌いではないけれど、普段は真面目なお父さんが酔っ払ってる時が好きじゃなくて、自分ではあまり飲まない。
川畑も今まで飲んでいる所を見た事がなかった。
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